第9回:松山市の関係人口の取組を調べてみました

第8回では、愛媛県が県外に暮らす出身者や若者、県外企業などと地域をつなぐ取組について調べました。

今回は県全体から松山市へ視点を移し、市がどのような方法で地域外の人との接点をつくっているのかを調べてみました。

松山市の取組を見ると、観光や買物、寄附などを通じて幅広い人とつながる方法と、仕事や専門性を通じて市内企業とつながる方法があることが分かりました。

地域との関わりを地域経済につなげる

関係人口というと、地域の行事への参加やボランティア活動などを思い浮かべるかもしれません。

しかし、地域との関わり方はそれだけではありません。

地域を訪れること、地域の商品を購入すること、ふるさと納税で応援することも、地域を知る入口になります。また、自分の経験や専門性を生かし、地域の企業と一緒に仕事をする関わり方もあります。

松山市では、こうした地域外の人との接点を、地域経済や産業の活性化につなげようとしています。

観光・物産・ふるさと納税を連動させる

松山市は、包括連携協定を結んでいる楽天グループと協力し、デジタルマーケティングを活用した関係人口の創出・拡大に取り組んでいます(※1)。

この取組の特徴は、観光誘客、産品販売、ふるさと納税の三つを別々に進めるのではなく、連動させていることです。

松山を旅行先として知る人もいれば、インターネットで特産品を見つける人、ふるさと納税を通じて応援する人もいます。

人によって、松山市に関心を持つきっかけは異なります。そこで、観光、物産、ふるさと納税という複数の分野を組み合わせて情報を発信し、より多くの人に松山の魅力を届けようとしています。

一度の旅行や購入だけで、直ちに継続的な関係が生まれるとは限りません。それでも、さまざまな入口が用意されていれば、自分に合った方法で松山市を知り、関心を持つきっかけになります。

デジタルを活用して複数の接点をつくる

デジタルマーケティングには、地域から離れた場所にいる人にも情報を届けやすいという特徴があります。

松山市の取組では、観光や特産品などの魅力を伝え、宿泊予約や商品の購入、ふるさと納税などにつなげています。

ここで大切なのは、三つの関わり方に決まった順番があるわけではないということです。

旅行で訪れてから商品を購入する人もいれば、商品をきっかけに松山市を知る人もいます。ふるさと納税を通じて、初めて松山市の取組に関心を持つ人もいるかもしれません。

複数の接点を設けることで、これまで松山市とのつながりがなかった人にも、その魅力を知ってもらう可能性を広げる取組だと感じました。

仕事を通じて市内企業と関わる

松山市では、観光や買物とは異なる形の関わりもつくられています。

「だんだんイノベーションラボ」は、松山市内の企業と、都市部などの高度な技術やスキルを持つプロ人材、スタートアップ企業などとのマッチングを支援する共創プロジェクトです(※2)。

オンラインでの説明や交流に加えて、市内企業を訪問するフィールドワークも行われます。マッチング成立後は、市内企業と外部の人材が、新事業の構想を考えたり、計画、試作、検証などを進めたりします。

松山市の施策でも、市内企業と都市部人材とのマッチングを企業の課題解決や関係人口の創出につなげる取組として位置付けています(※3)。

参加する人は、市内企業との意見交換や事業開発を通じて、仕事の面から松山市と関わることになります。

そのため、「だんだんイノベーションラボ」も結果として、松山市の関係人口の創出につながる取組の一つと考えられます。

二つの取組から見える松山市の特徴

今回調べた二つの取組では、対象となる人も関わり方も異なります。

観光、物産、ふるさと納税を連動させる取組では、全国の幅広い人に松山市の魅力を届けています。

一方、「だんだんイノベーションラボ」では、専門的な技術や知識を持つ人材・企業と市内企業をつなぎ、具体的な事業づくりへ進むことを目指しています。

幅広い人が松山市を知る入口と、仕事を通じて市内企業と協働する入口の両方があることが、松山市の取組の特徴だと感じました。

共通しているのは、地域外の人との接点を、松山市の経済や産業の活性化につなげようとしていることです。

移住しなくてもできる関わりがある

地域と深く関わるためには、その地域へ移住する必要があると思う人もいるかもしれません。

しかし、今回調べた取組では、松山市に住んでいなくても、旅行、買物、寄附、仕事などを通じて関わることができます。

もちろん、一度の訪問や購入だけで、継続的な関係が完成するわけではありません。

まず地域を知り、興味を持つ。
その後、自分にできる方法で再び関わる。

そうした接点の積み重ねが、地域との関係を育てる一つの方法になるのだと思います。

調べてみて感じたこと

松山市の取組を調べてみて、関係人口の入口は、地域活動への参加だけではないことが分かりました。

旅行や買物、ふるさと納税のように、多くの人が参加しやすい関わり方があります。その一方で、専門性を生かして市内企業と新しい事業を考えるような関わり方もあります。

誰もが同じ方法で地域と関わる必要はありません。

大切なのは、自分の関心や経験に合った入口を見つけ、無理のない形で関係を続けられることではないでしょうか。

松山市との入口を探してみませんか?

松山市との関わりは、地域を訪れることだけに限られません。

松山の特産品を調べてみる。
ふるさと納税で応援できないか考えてみる。
自分の仕事や専門性を地域企業との協働に生かせないか考えてみる。

こうした行動が、地域を知るきっかけになります。

次回は、特定の地域と関わりたいと思ったときに、イベントや地域活動などの情報をどのように探せばよいのか調べてみたいと思います。

<用語メモ>

デジタルマーケティング
ウェブサイトやインターネット上のサービス、データなどを活用し、情報発信や販売促進につなげる取組。

共創
異なる立場の人や組織が、それぞれの知識や経験を持ち寄り、新しい事業や価値を一緒につくること。

<参考>

※1 デジタルマーケティングを活用した関係人口の創出・拡大/松山市
観光誘客、産品販売、ふるさと納税を連動させた関係人口の創出・拡大と、地域経済・産業の活性化について確認するために参考にしました。

※2 だんだんイノベーションラボ(外部人材等活用イノベーション促進事業)/松山市
市内企業と外部の人材・企業とのマッチング、フィールドワーク、新事業の構想・開発、伴走支援について確認するために参考にしました。

※3 柱4 安全・安心で持続可能なまちづくり/松山市
都市部人材と市内企業とのマッチング支援を、企業の課題解決や関係人口の創出につなげる松山市の位置付けについて確認するために参考にしました。

※本記事の内容は公開時点の情報をもとにしています。最新の情報については、各公式サイト等をご確認ください。

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