第14回:人口減少が地域に与える影響を調べてみました

通院や買い物に使うバス。日々の生活に必要なものを届ける物流。食材を生産し、農地を管理する人たち。

普段は当たり前のように感じる暮らしも、さまざまな人や仕事に支えられています。人口が減ると、こうした暮らしの土台には、どのような影響があるのでしょうか。

第13回では、地方創生が始まった背景について調べました。今回は、人口減少が地域の暮らしや仕事にどう関わるのか、公式資料や具体的な取組から考えてみました。

人口の数字から、地域の変化を考える

2026年9月29日に公表された「令和7年国勢調査 人口等基本集計」によると、2025年10月1日現在の日本の総人口は約1億2,297万人です。2020年と比べて約317万人、2.5%減少しました(※1)。

ただし、地域によって状況は異なります。同じ調査では、人口が増加した市町村も確認できます。全国の人口が減っているからといって、すべての地域が同じ変化を経験しているわけではありません(※1)。

また、人数の増減だけでは、その地域の暮らしは十分に分かりません。どのような年代の人が暮らしているのか、必要なサービスを誰が支えているのかにも目を向けたいと思います。

人口減少を身近な問題として考えるには、数字の先にある生活を見ていくことが大切そうです。

暮らしを支えるサービスに、どのような影響があるのか

利用する人が減ることと、支える人が足りないこと

人口減少の影響を調べる中で気付いたのは、「利用する人」と「サービスを提供する人」の両方に変化が起こることです。

例えば、2025年版国土交通白書では、路線バスについて、人口減少や少子高齢化、マイカーの普及、生活様式の変化などによって、利用需要が減少してきたことが説明されています。さらに、運転手不足を理由とする減便や廃止が、全国各地で起きていることも示されています(※2)。

利用する人が減ることと、運転する人を確保できないことは、異なる課題です。バスが減った理由を、人口減少だけで説明することはできません。

物流についても、2026年版交通政策白書では、今後、人口減少などにより担い手不足がさらに深刻化する中で、必要な物流機能を維持することが課題とされています(※3)。

買い物をする場所があるだけでなく、そこへ商品が届くことも必要です。地域の暮らしは、目に見えるお店や施設の後ろにある仕事にも支えられています。

移動の不便が、暮らしの選択肢に関わる

移動手段が少なくなると、通院や買い物の方法だけでなく、家族の生活にも影響が及びます。

2026年版交通政策白書では、移動手段の不足によって、家族による送迎の負担や、働く機会、買い物などの機会の制約が生じることが整理されています(※3)。

例えば、家族の送迎が必要になれば、その時間に仕事や別の用事を入れにくくなるかもしれません。交通の問題は、バスに乗る本人だけの問題ではないと感じました。

一方で、人口が減れば、移動を支える必要性も同じように減るとは限りません。白書では、運転免許の返納や、学校・病院の統廃合などにより、移動の社会的な需要が拡大していることも示されています(※3)。

利用者の人数だけでなく、「誰が、何のために移動する必要があるのか」を考えることが重要そうです。

地域の資源を維持する人も必要になる

担い手不足は、サービスだけでなく、地域の土地や環境にも関わります。

国土交通省が2026年7月に公開した記事では、栃木県の那須地域について、農業の担い手不足と、それに伴う耕作放棄地の増加が課題として紹介されています。耕作放棄地は、鳥獣被害や景観の悪化にもつながるため、農業だけでなく、地域の暮らしに関わる問題として説明されています(※4)。

農地は、存在しているだけで維持されるものではありません。耕し、管理する人がいて、地域の資源として生かされます。

人口減少の影響を考えるときには、施設や土地の数だけでなく、それを使い、手入れする人の存在にも目を向ける必要があると感じました。

人や組織をつなぎ、支え方を見直す取組もある

課題がある一方で、地域内外の力を組み合わせる取組も紹介されています。

那須地域では、一般社団法人ナスコンバレー協議会が、地域内外の企業や人材などをつなぐ役割を担っています。

農業分野では、農業法人と地域外のIT企業をつなぎ、技術やノウハウを取り入れられる環境を整えています。また、東京と那須を行き来する二地域居住者に、滞在中に農作業員として働いてもらうことができないかという実証事業も行われました(※4)。

これらは、担い手不足が解消したという話ではありません。ただ、地域の中だけで対応しようとするのではなく、外部の人や企業と協力する方法を試している事例として参考になります。

これまで調べてきた関係人口についても、不足する人手を補う存在としてだけ捉えるのではなく、地域の課題を知り、それぞれに合う関わり方を一緒に考えることが大切なのではないでしょうか。

調べてみて感じたこと

今回調べてみて、人口減少は、住民の人数だけの問題ではないことが見えてきました。移動や買い物の選択肢、仕事を続けるための条件、土地を維持する人など、暮らしのさまざまな部分に関わっています。

また、必要なサービスが残っていても、それを支える人に負担が集中していれば、続けることは難しくなるかもしれません。「何があるか」と併せて、「誰が、どのように支えているか」を知ることも大切だと感じました。

人口減少への対応には、人を増やす取組だけでなく、人数や地域の状況が変わっても暮らしを支えられるよう、方法を見直す視点も必要そうです。

ただし、別の地域の取組をそのまま導入すれば、同じように進むとは限りません。住民が必要としていること、地域で使える資源、協力できる人や組織を確かめながら、その場所に合う方法を考えたいと思います。

まとめ

人口減少の影響を調べると、サービスを利用する人の変化だけでなく、それを提供する人や、地域の資源を維持する人の確保も課題になっていることが分かりました。

そして、移動の不便は、家族の負担や働く機会にもつながります。人口の数字だけでは見えにくい、日常生活への影響があります。

身近な地域や好きな地域で、これからも使い続けたいサービスは何でしょうか。それを誰が支えているのかを知ることも、地域の未来を考える入り口になりそうです。

<参考・出典>

※1【出典】
令和7年国勢調査 人口等基本集計 結果の要約/総務省統計局
1~3ページを参照。人口の基準日は2025年10月1日。

※2【参考】
国土交通白書2025 第Ⅰ部 第1章 第1節「1 直面する課題」/国土交通省
「路線バス・タクシー運転手」などを参考にしました。

※3【参考】
令和8年版交通政策白書(概要)/国土交通省
PDF3ページ「『交通空白』の解消と持続可能な地域交通の実現」、PDF5ページ「物流革新の推進」を参考にしました。

※4【参考】
地域のプレイヤーをつなぎ、暮らしを守る「民間の地域経営主体」を多角的に支援!/国土交通省「Grasp」
那須地域の課題と取組に関する説明を参考にしました。

※本記事の内容は公開時点の情報をもとにしています。最新の情報については、各公式サイト等をご確認ください。

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