第12回:地域活性化と地方創生の違いを調べてみました

地元の産業を育てる。買い物や交通の不便を減らす。地域外の人と交流する機会をつくる。

こうした取組を紹介する場面では、「地域活性化」と「地方創生」という二つの言葉を目にします。どちらも地域をより良くする話に思えますが、何が違うのでしょうか。

第11回では、地域活性化について、地域資源を生かした活動や暮らしを支える取組を調べました。今回は、その内容を踏まえ、地方創生との違いと重なりについて調べてみました。

地域活性化と地方創生の捉え方

地域活性化は、地域をより良くする取組を広く捉える言葉

第11回では、地域活性化を「地域にある資源や人の力を生かし、暮らしや活動をより良くしていく取組」と整理しました(これは特定の制度の定義ではなく、調べた内容をもとにした、この連載での捉え方です)。

地域の食材を生かした商品づくりも、日常生活に必要なお店を維持することも、人のつながりを育てる活動もあります。

地域活性化という言葉は、こうした幅広い取組を考えるときに使えそうです。にぎわいや経済だけでなく、地域で暮らす人の生活にも目を向けたいと思います。

地方創生には、政策としての目的や仕組みがある

一方、地方創生を国の政策として調べると、人口減少や東京一極集中(東京圏への人口の過度な集中)への対応が、重要な目的として見えてきます。

その基本となるのが、2014年に制定された「まち・ひと・しごと創生法」です。人口減少などに対応し、各地域で住みよい環境を確保するため、地域社会、人材、働く機会を一体的に考える法律です。国の総合戦略や、自治体が地域の事情に応じた総合戦略をつくる枠組みも定めています(※1)。

総合戦略とは、目指す姿や、その実現に向けた取組をまとめた計画です。

このように見ると、地域活性化は地域をより良くする取組を広く捉える言葉であり、地方創生には、社会全体の課題に向き合う政策としての目的や計画の枠組みがある、と整理できそうです。ただし、二つの言葉を完全に分ける公式な定義として説明するものではありません。

違いはあるけれど、取組は重なっている

「地域のイベントは地域活性化、移住を増やすことは地方創生」と分ければ、分かりやすく見えるかもしれません。しかし、実際にはそれほど単純ではありません。

地域の産業を育てる活動は、地域活性化の取組として捉えられます。同じ活動が、自治体の地方創生に関する総合戦略で働く場の確保や担い手育成に位置付けられていれば、地方創生の取組としても説明できます。

また、「地域活性化は住民が行い、地方創生は行政が行う」という分け方も適切ではなさそうです。後で紹介する自治体の計画にも、地域内外の多様な人や組織との連携が示されています。

違いを考える際には、活動の名称や実施する人だけでなく、「どのような課題に向き合うのか」「計画の中でどう位置付けられているのか」に注目すると、理解しやすいと感じました。

デジタル活用や新しい戦略も、地方創生につながっている

地方創生について調べていると、「デジタル田園都市国家構想」という政策を見つけました。

デジタル田園都市国家構想は、デジタル技術を活用し、地域の特色を生かしながら、暮らしの利便性や産業の可能性を高める構想です。地域の課題を解決し、持続可能で心豊かに暮らせる社会を目指しています(※2)。

また、デジタル庁は、地域未来戦略本部の地方創生の取組とも連携し、これまで進めてきたデジタル田園都市国家構想の成果を発展させる方針を示しています(※2)。

2026年7月21日には「地域未来戦略」が閣議決定されました。

地域未来戦略本部では、地域の産業を育てるとともに、世界をリードする技術・ビジネスの創出を目指す方向性も示されています(※3)。

自治体の戦略を見ると、暮らしとのつながりが分かる

国がつくった「デジタル田園都市国家構想」をもとに、自治体が具体的な戦略をつくっている事例を見つけました。鹿児島県知名町の「第3期 知名町デジタル田園都市構想総合戦略」です。

この戦略は、2025年度から2027年度までを対象とし、四つの基本目標を掲げています。

一つ目は、暮らし続けたい環境の維持・整備です。公共交通や住まいなど、生活を支える環境を扱っています。

二つ目は、地域のつながりを育てることです。子育て、医療、高齢者福祉、見守りなどが含まれています。

三つ目は、産業の基盤強化と人材育成です。農業や水産業、観光業などの振興と、働く場の創出を目指しています。

四つ目は、新しい人の流れと関係人口の拡大です。移住・定住だけでなく、地域外の人との交流や継続的な関係も扱っています(※4)。

これらは目標であり、すべての成果が既に実現したという意味ではありません。ただ、地方創生が人口や移住だけの話ではなく、身近な生活にも関わることが分かります。

これまで調べてきた関係人口も、地域の未来を考える取組の一つとして位置付けられていました。

調べてみて感じたこと

今回調べてみて、地域活性化と地方創生は、別々の活動を指すというより、重なる部分を持ちながら、言葉を使う場面や政策上の位置付けが異なるのだと感じました。

地域の取組を広く見る視点と、人口減少などの課題に対して計画的に取り組む視点。その両方が、地域の未来を考える手がかりになりそうです。

また、制度や戦略は遠い話に見えても、その中には、お店、交通、子育て、仕事など、普段の暮らしにつながる内容があります。

だからこそ、「地域活性化なのか、地方創生なのか」と分類すること以上に、誰が困っていて、何を良くしようとしているのかを知ることが大切なのではないでしょうか。

地域外から関わる場合も、活動に参加するだけでなく、その地域がどんな未来を目指しているのかを知ることで、関わり方を考えやすくなると思います。

まとめ

地域活性化は、地域をより良くする幅広い取組として捉えられます。地方創生には、人口減少などの課題に向き合う政策としての目的や、法律・戦略の枠組みがあります。ただし、二つの取組は重なっており、明確に分けられるものばかりではありません。

身近な地域や好きな地域の計画には、どのような暮らしや未来が描かれているでしょうか。気になる取組を一つ見つけ、その目的を読んでみることも、地域を知るきっかけになりそうです。

<参考・出典>

※1【参考】
まち・ひと・しごと創生法/衆議院
2014年11月28日公布。制定時の第1条、第8~10条を参照し、法律の目的と総合戦略の基本的な枠組みを整理しました。

※2【参考】
デジタル田園都市国家構想/デジタル庁
構想の目的と、地域未来戦略本部の取組との連携に関する説明を参考にしました。

※3【出典】
地域未来戦略本部の設置について(令和7年11月11日閣議決定(PDF/121KB)内閣官房
2026年7月21日の掲載情報で、地域未来戦略の閣議決定を確認しました。

※4【参考・出典】
第3期 知名町デジタル田園都市構想総合戦略/鹿児島県知名町
更新日:2026年3月2日。2025年3月策定の計画について、計画期間、四つの基本目標、地域内外の主体との連携を確認しました。

※本記事の内容は公開時点の情報をもとにしています。最新の情報については、各公式サイト等をご確認ください。

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