第11回:地域活性化とは何か調べてみました
地域のイベントに人が集まる。地元の食材を使った商品が生まれる。身近な商店が営業を続け、住民が安心して買い物ができる。
こうした場面は、どれも地域にとって大切なことです。ただ、「地域活性化」と聞くと、観光客を増やしたり、大きなイベントを開いたりすることを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
これまでのコラムでは、関係人口や地域との関わり方について調べてきました。今回は視点を変えて、地域活性化とはどのような取組なのか、公式資料や事例などを調べてみました。
地域活性化の捉え方
地域活性化について調べてみると、地域の魅力を発信する取組だけでなく、産業や日常の暮らし、人のつながりに関わる取組も見えてきます。
そこで今回は、地域活性化を「地域にある資源や人の力を生かし、暮らしや活動をより良くしていく取組」と捉えてみたいと思います(これは特定の制度の定義ではなく、今回調べた内容を整理したものです)。
例えば、地域の食材を使った商品づくりは、地域の魅力を伝える方法になります。一方、買い物の不便を減らすことや、住民が話し合って地域の課題に取り組むことも、暮らしを支える大切な活動です。
「外から人を呼ぶこと」と「今暮らしている人の生活を支えること」。どちらか一方ではなく、両方に目を向けると、地域活性化をより身近なものとして考えられそうです。
なぜ今、地域活性化が必要なのか
例えば、島根県の「小さな拠点づくり」の説明では、中山間地域で人口減少や高齢化が進み、地域運営の担い手や、日常生活に必要なサービスの確保が難しくなっていることが示されています。中山間地域とは、山間部やその周辺などの地域を指します(※1)。
この背景から考えると、地域活性化は、にぎわいを生み出すだけの話ではありません。買い物をする場所や、地域の活動を担う人を、これからどう確保していくかという問題でもあります。
訪れる人にとって魅力的な地域であっても、暮らす人が不便や負担を抱えていれば、活動を続けることは難しいかもしれません。地域の未来を考えるときには、日常を支える仕組みにも注目する必要があると感じました。
具体的な取組から見えてきたこと
地域の資源を生かし、活動を育てる
愛媛県内子町の石畳地区は、令和7年度(2025年度)の「豊かなむらづくり全国表彰」で農林水産大臣賞を受賞しています(※2)。
中国四国農政局の2025年6月の現地調査報告では、若者を中心とした複数の活動が紹介されています。
「完熟石畳栗」の栽培・加工・販売、古民家を利用した「石畳の宿」での地元食材を中心としたおもてなし、地元産そばを使ったそば屋の開店などです。かつて精米や製材に使われていた水車の再建も行われています(※3)。
この事例で印象に残ったのは、食材、建物、地域の歴史といった身近な資源が、それぞれ活動の土台になっていることです。
特別なものを新しく持ち込むだけでなく、地域にあるものの価値を見つめ直し、暮らしや来訪者を迎える活動に生かす取組だと感じました。
暮らしを支える仕組みをつくる
島根県の「小さな拠点づくり」は、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、生活に必要な機能を維持・確保する取組です。
住民同士の話し合いによる地域運営の仕組みづくりや、行政が関わりながら、商店やガソリンスタンドなどの機能を維持・確保する取組が位置付けられています(※1)。
新しい施設ができることだけでなく、必要なものが地域に残ることにも意味があります。普段は当たり前に利用しているお店やサービスも、地域の暮らしを支える大切な基盤だと改めて気付かされました。
地域外の人との関係を育てる
観光庁の「第2のふるさとづくりプロジェクト」は、繰り返し地域を訪れる旅を広め、新たな観光需要や地域経済の活性化につなげる取組です。
2026年度内に実施する個人向けのモデル実証では、地域の人との交流や地域運営への参加などを通じて関わるきっかけをつくり、その後も継続して訪れる仕組みの構築を目指しています(※4)。
この取組には、これまで調べてきた関係人口とのつながりもあります。一度訪れて終わるのではなく、地域の人や活動を知り、また関わりたいと思える関係を育てる。その積み重ねも、地域の未来を支える一つの方法になりそうです。
調べてみて感じたこと
今回調べてみて、地域活性化を考えるには「何を増やすか」だけでなく、「何を残したいか」「何を続けたいか」という問いも大切だと感じました。
石畳地区のように資源を生かした活動を育てることも、暮らしに必要なサービスを守ることも、地域外の人との関係をつくっている事例もあります。
良い事例をそのまま別の地域に当てはめれば、同じ結果になるとは限りません。完成した商品や施設だけではなく、何に着目し、どのような人が関わって活動を進めたのかというところに着目すれば、地域ごとに課題や資源が異なっても、得られる示唆があるのではないでしょうか。
また、島根県の「小さな拠点づくり」では、地域を知り、話し合い、計画をつくり、取り組みやすいことから試して改善する進め方も示されています(※1)。
最初から大きな成果を目指すだけでなく、小さく試しながら地域に合う方法を見つけていくことが有用だと感じました。そして、活動する人の負担が偏っていないか、無理なく続けられるかにも目を向けたいと思います。
まとめ
地域活性化について調べると、地域資源を生かした事業だけでなく、暮らしの維持や人のつながりを育てる取組も見えてきました。
地域との関わりも、大きな活動から始める必要はないのかもしれません。地元のお店を利用する、気になる地域を再び訪れる、地域の活動について話を聞いてみる。そんなことから、その場所を支えている人や仕組みを知ることができます。
身近な地域や好きな地域で、これからも残ってほしいものは何でしょうか。そのような問いから、地域活性化を自分にも関係のあることとして考えてみたいと思います。
<参考・出典>
※1【参考】
小さな拠点づくり/島根県「しまねの郷づくり応援サイト」
人口減少・高齢化に伴う課題、生活機能の維持、住民の話し合い、取組の進め方を参考にしました。
※2【出典】
農林水産大臣賞(令和7年度)/農林水産省
令和7年度(2025年度)豊かなむらづくり全国表彰事業における、石畳地区の受賞を確認しました。
※3【参考】
フォトレポート(愛媛県)令和7年度/農林水産省 中国四国農政局
「令和7年度豊かなむらづくり全国表彰事業の現地調査」(2025年6月5日)の項目を参考にしました。
※4【参考】
第2のふるさとづくり/観光庁
最終更新日:2026年6月1日。取組の目的と、2026年度内に実施するモデル実証の説明を参考にしました。
※本記事の内容は公開時点の情報をもとにしています。最新の情報については、各公式サイト等をご確認ください。

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