第3回:国土交通省の資料から、関係人口がなぜ必要なのか考えてみました

第1回では「関係人口とはどのような人なのか」、第2回では「交流人口・関係人口・定住人口には、どのような違いがあるのか」を調べてみました。

関係人口は、地域に住んでいなくても、特定の地域や地域の人々とさまざまな形で関わる人のことです。

では、なぜ今、関係人口が必要とされているのでしょうか。

「人口が減っている地域に、外部から人を呼び込むため?」
「将来の移住者を増やすため?」

私自身、最初はそのように考えていました。

そこで今回は、国土交通省が令和3年3月に公表した資料「最終とりまとめ~関係人口の拡大・深化と地域づくり~」を参考に、関係人口が地域に必要とされる理由について考えてみました。

人口が減ると、地域の「活動力」も小さくなる

地方では、人口減少や少子高齢化が進んでいます。

人口が減るというと、住民の数そのものに目が向きがちです。しかし、今回参考にした資料を読んでみると、人口減少によって影響を受けるのは人数だけではないことが分かります。

地域のお祭りや行事を続ける。
地域の産業や生活サービスを支える。
地域の課題について話し合う。
新しい活動を立ち上げる。

こうした地域を維持していくための力も、担い手が少なくなることで弱くなる可能性があります。

資料では、地域を維持・向上させるために必要な力を「活動力」という視点から捉えています。そして、人口が減少する地域では、地域住民の活動力を高めるとともに、関係人口を新しい地域づくりの担い手として捉えることが考えられるとしています。

ポイントは、減った住民の人数を、同じ人数の関係人口で置き換えるという考え方ではありません。

地域に住んでいるかどうかにかかわらず、地域に関心を持ち、何らかの形で活動する人を増やすことで、地域全体の活動力を広げていくという考え方です。

関係人口は、地域の活動に直接関わることができる

関係人口の中には、地域のお祭りやボランティアに参加する人、地域で仕事をする人、農林水産業に携わる人、地域づくりのプロジェクトに参加する人などがいます。

今回参考にした資料では、このように地域の課題解決や地域づくりに直接関わる人を「直接寄与型」と整理しています。

たとえば、地域外で暮らす人が、自分の仕事で培った知識や技術を生かして地域の事業を手伝うことがあります。

地域の商品やサービスについて、外部の視点から意見を伝えたり、情報を発信したりすることもあります。

地域に住んでいなくても、その人の経験、知識、得意分野を生かして地域に関わることはできます。

関係人口は、単なる観光客でも、将来の移住者でもなく、地域の活動に参加する一人の担い手になり得るのです。

関係人口が、地域住民の活動を後押しすることもある

関係人口の役割は、直接的な人手や知識の提供だけではありません。

地域外の人が地域の魅力に気づき、興味を持つことで、地域住民が自分たちの地域の価値を改めて見つめ直すことがあります。

「外部の人から見ると、この風景は魅力的なのか」
「当たり前だと思っていた文化や暮らしに、価値があるのかもしれない」

そのような気づきが、住民の自信や新しい活動につながることも考えられます。

資料を読み進めると、多様な関係人口が地域に関わることによって、地域住民と関係人口が連携・協働した地域づくりにつながり、その動きがほかの地域住民や関係人口を刺激することも期待されていると分かります。

つまり、関係人口が一つの活動を担うだけでなく、その存在や行動が、周囲の人が動き始めるきっかけになる可能性もあるということです。

地域の内側から新しい動きが生まれる

資料では、関係人口とともに進める「新しい内発的発展」という考え方も示されています。

少し難しい言葉ですが、地域住民が主体となり、地域にある資源や人のつながりを生かしながら、地域の内側から新しい活動を生み出していくことだと理解しました。

地域が先に将来像を考え、その実現に必要な関係人口を招く場合もあります。

一方で、外部の人が地域を訪れ、一部の住民との小さな交流や活動が始まり、そこから地域の将来像が見えてくる場合もあります。

どちらの場合も、地域外の人に地域づくりを任せるわけではありません。

地域づくりの主体は地域住民であり、関係人口は住民と対等な立場で連携・協働する存在として捉えることが大切です。

移住だけが成果ではない

関係人口とのつながりが深まり、最終的に移住へつながる場合もあります。

資料の調査結果からは、関係人口が多い地域ほど、圏域外からの転入者が多い傾向も確認できます。

しかし、すべての関係人口が移住を目指すわけではありません。

年に何度か地域を訪れる人。
地域の活動に参加する人。
仕事や副業で関わる人。
地域の商品を購入したり、離れた場所から応援したりする人。

それぞれの暮らしに合った形で関わり続けること自体に意味があります。

「何人が移住したか」だけで成果を考えると、関係人口が持つ多様な価値を見落としてしまうかもしれません。

関わる人にとっても意味がある

地域との関係は、地域が一方的に何かをしてもらうためのものではありません。

今回参考にした資料では、地域との関わりを続けたい理由として、楽しさやリフレッシュなども挙げられています。

地域で新しい人と出会う。
普段の仕事とは違う経験をする。
自分の知識や得意なことを生かす。
応援したいと思える地域や人とつながる。

このような関わりは、参加する人にとっても、学びや楽しみ、自己実現、居場所につながる可能性があります。

地域と関係人口の双方にとって意味があるからこそ、無理のない関係を続けられるのだと思います。

調べてみて感じたこと

今回、特に印象に残ったのは、関係人口を「人口減少を人数で補う存在」としてだけ捉えていないことでした。

関係人口が必要とされる理由は、減った住民の代わりになるためではありません。

地域に関わる人や関わり方を増やし、地域の活動力を広げること。そして、関係人口との交流をきっかけに、地域住民の新しい活動を引き出すことに、大きな意味があるのだと思います。

地域を支える方法は、その地域に住むことだけではありません。

無理なく通うことも、仕事で関わることも、地域の活動を手伝うことも、離れた場所から応援することもできます。

関係人口を考えるときは、単に「何人集めたか」ではなく、地域にどのような関係や活動が生まれたのかを見ることが大切なのではないでしょうか。

あなたなら、地域とどのように関わりますか?

住んではいないけれど、応援したい地域。
何度でも訪れたい地域。
自分の経験や得意なことを生かしてみたい地域。

そのような地域があれば、自分にできる関わり方を考えてみることが、関係人口としての一歩になるかもしれません。

次回は、地域と関係人口のつながりを育てるために必要な「関わりしろ」と「人・場・仕組み」について調べてみたいと思います。

<用語メモ>

活動力
地域活動や課題解決など、地域を維持・向上させていくための力。本記事では、参考にした資料をもとに、住民と関係人口の活動を含むものとして整理しています。

直接寄与型
地域づくりのボランティア、地域での仕事、農林水産業への従事などを通じ、地域の課題解決や地域づくりに直接関わる関係人口。

内発的発展
地域住民が主体となり、地域にある資源や人のつながりなどを生かしながら、地域の内側から発展していく考え方。

<参考>

最終とりまとめ~関係人口の拡大・深化と地域づくり~(令和3年3月)/国土交通省
関係人口の定義、地域の活動力、関係人口と地域づくり・内発的発展との関係、移住や継続的な関わりについて確認するために参考にしました。

※本記事の内容は公開時点の情報をもとにしています。最新の情報については、各公式サイト等をご確認ください。

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